
東京・上野で約4億2千万円が入ったとされるスーツケースが奪われ、その数時間後、羽田空港の第三ターミナル駐車場(国際線)で1億9千万円を持っていた男性たちが催涙スプレーをかけられた事件などを受け、元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏が4日、デイリースポーツの取材に対して見解を語った。
強奪事件は1月29日夜9時半頃に台東区東上野の路上で発生。催涙スプレーのようなもので日本人と中国人の男女計7人のグループが3人組の男に襲われ、約4億2千万円が入ったとされるスーツケースを奪われた。
捜査関係者によると、グループはリュックにも現金を詰めており、容疑者の1人は「リック、リック」と外国人風のイントネーションでしゃべったという。襲撃されたグループの1人が「容疑者が片言の日本語を話していた」と警視庁に説明していることも分かった。奪われた現金は香港に運ぼうとしていたものだという。
さらに、30日午前0時10分頃には、羽田空港の駐車場で1億9千万円が入ったキャリーケースを持った男性たちが3人組に襲われて催涙スプレーをかけられたと警察に通報。奪われたものはなく、3人組は逃走した。同庁は上野の事件との関連もあるとみて強盗容疑などで調べている。
さらに、羽田空港で襲われた男性4人のうちの2人が同日朝9時に香港の両替所の前で襲われ、現金約5100万円が入ったリュックサックを奪われたという。
小川氏は「上野と羽田空港の被害者は同一ではないと見られているが、容疑者は同じグループの可能性が強いと思います。別のグループが『こういう仕事(多額の現金を海外で両替する)をやっている』という情報が事前に知っていた可能性が非常に強い。両替に行くグループの中にいる者を内通者に仕立て情報を得ていたのではないか」と推測した。
その上で、同氏は「狙われたお金の出どころも焦点になります。香港に持って行ってどうしようとしていたのか。これまでの渡航歴も全て含めて警察は捜査していくと思います」と解説した。
日本から大金を海外に持ち出す過去の例として、小川氏は「2020年より以前は家庭の主婦とかが100グラムのゴールド(金)バーを2~3枚、カバンやポケットに入れて持って来るというような運び屋のアルバイトが結構ありました」と説明。「ただ、今回は数億円だった。例えば2億円でしたら、ゴールド・バーの重さはと約8キロ近い計算です。100グラムのバーでいえば80枚。簡単に持ち運び(密輸)できる量ではない」と付け加えた。
その点を踏まえ、小川氏は「必ずしも金の密輸とは限らない。昨年11月、東京都中央区築地の駐車場で外貨(9500万円相当)が車上荒らしの被害にあっているが、この時は、30分間、車を離れたすきに盗まれている。両替した外貨を日本に持ち帰っていた…、つまり、金を購入して日本に持ち帰ってはいないことになる」と説明した。
今後の捜査ポイントについて、小川氏は「羽田空港、成田空港など国際線の空港で、特に香港路線は税関のチェックも非常に厳しくなっている。この多額の現金が何のための現金だったのか、そこがかなり重要になってくる」と補足した。